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そんな風に、しばらくカタセくんと遊んでいたら、テレビから大音響が聞こえてきた。
あたしもだけど、カタセくんも驚いたように動きを止めてそっちを見ると、ミネちゃんがテレビの前に座り込んでる。
「美音……?」
「みゃーおん?」
ミネちゃん?
バリバリバリ。
背中を向けたままのミネちゃんから聞こえるのは、おせんべいをかじる音。
だけど、その背中からものっすごくイライラオーラが出ていて。
あたしの毛が本能で逆立った。
「おい、美音?」
「知らない。何よ、片瀬くんもモカちゃんも二人で楽しそうにしちゃって」
ミネちゃんのほっぺは、つつきたくなるくらいぷうっと膨れている。
ありゃあ、ミネちゃん。
一人ぼっちで寂しくなっちゃったのね?
「にゃーおん」
ごめんね、ミネちゃん。
ちょっと忘れてたよ。
「なんだよ。いじけてんの? はは、美音。カワイイなぁ」
普段弱腰なカタセくんは、ここぞとばかりに上からくる。
あーあ。馬鹿ね。
カタセくんってオンナゴコロが分かってない。
「いじけてなんかいません! もう! 片瀬くん。帰ってよ! 邪魔!」
「えっ」
「私はモカちゃんがいればいいんだもん。おいで、モカちゃん」
「みゃーおん」
ミネちゃんが手を広げてくれたので、あたしはぴょんと飛び移った。
「知らない。もう、片付けて帰って!」
ミネちゃんはすっかり拗ねちゃった。
あたしを抱っこして、ソファに座って、カタセくんの方を少しも見ない。