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「雨やまなかったら今日だけ家に来る?」

「みゃーみゃ」


ううん。
あたしミネちゃんとこに帰るよ。

ずっと一緒って約束したんだもん。


「やまないし迎えを頼むか。サユにも見せてあげたいしな」


おじさんはそう言って今度は胸のあたりに手をいれて何かをとりだした。

ああこれは知ってるわ。
『ケータイ』ってミネちゃんが言ってた。

それにしても色んなキカイを持ってるのね。

おじさんすごいわ。
何者なのかしら。


「もしもし。今どこに居る? サユと一緒?  
……うん。そう、雨で動けなくなってる。迎えに来てくれる?」


何のお話ししてるんだろう。

でもこの音は何となく心地いい。
優しい音色に聞こえるのは、おじさんが優しい気持ちだからかしら。


「え? じゃあ近くだ。桜屋の軒先だよ。よりによって今日定休日みたいで。
駅で傘買ってこればよかったんだけどさ。

ところで、今ネコがいてさ。
これが人懐っこいんだ。
サユに見せたいから、静かに来いよ」


電話を切って、おじさんは嬉しそうな顔であたしを見る。

「しばらく逃げるなよ」

そんな風に言って笑う。

ああ、この人。
本当に笑顔が優しい。






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