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「みゃーおん」
あたしも帰ろう。

タクハイさんって案外難しいんだなぁ。

その後、あたしは家に帰り何食わぬ顔でミネちゃんを出迎えたんだけど。
ミネちゃんは、あたしを見るとむーっと怒りだした。


「モカちゃん、ダメって言ったのにまた抜けだしたでしょう。いい加減にしないとベランダへの窓閉めちゃうよ?」

「みゃーおん!」

イヤよう。そこ開いてないと空気が悪くなるんだもの。
ていうか、なんで分かるのー。
ミネちゃんはエスパーなの!


「これが証拠!」

部屋の中に落ちてた、小さなイガイガ。

くっつき虫だ!
いやん、草むらに入った時にくっついちゃったんだ。


「みゃー」

うわあん、ごめんなさい!


「危ないし、迷子になったら大変だから。もうホント勝手に抜けださないで」


「みゅー」

だって。
つまんないんだもん、一人で家に居ても。


最後の最後で余計なタクハイをしちゃったらしい。
今日はあんまりうまくいかない日だったなぁ。

ちょっと悲しくなって、丸くなって落ち込んでいるとミネちゃんからすごんだ声がする。


「お外に出たならお風呂だよー」


「みゃー!」

お風呂嫌いー!!


春のお散歩は気をつけなくっちゃ。
ビシャビシャの体で身震いしながら、あたしは切なくそう思った。





【fin.】



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