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「猫ちゃんが持ってきてくれたの?」

「みゃおん。みゃー、みゃおん」

うん、そうよ。
男の子からのお届け物。
あの子きっとあなたのことが好きなのよ。
モテる女は辛いわね。
……これ使い方あってる? よくテレビで言ってるんだけど。


「ありがとう。猫ちゃん」


女の子は、今度は満面の笑みに変わった。
お届け成功らしい。

やったわ。
あたし、タクハイさんになれたみたい。



「サユ! 居ないと思ったらなにしてるんだい」


そこに、大人の女の人の声がして。あたしはびっくりして草むらまで逃げた。


「あ、猫ちゃん!!」


女の子はあたしを追いかけようとするけど、そう簡単には捕まらないわよ。
だってあなた、足は遅いみたいだし。

そのまま、草むらに隠れて様子をうかがっていると、近づいてきた女の人に、その女の子が嬉しそうにタンポポをみてた。


「おばあちゃん見て。猫ちゃんがプレゼントしてくれたの。凄いよ、あの猫ちゃん」


ちょっと待って。
あたしじゃないわよ。

男の子からだよ。
あああん。伝わってないのね?
あたし、タクハイさん失格?


「猫なんていた? ああそれより、また汚したね、サユ」

「あ、……お父さん怒るかなぁ」


急にしょぼんとしてしまった女の子に、その女の人はため息を落として、それでも頭をなでてあげてた。


「また新しいスカート買ってくれるんじゃないの。英治さんは甘いから」

「でもわたし、これが気に入ってるんだけど」

「じゃあ、おばあちゃんが洗濯してあげる。紗彩じゃシミ抜きだってろくにできやしないもの」

「お洗濯とお料理はお母さんよりおばあちゃんのほうが上手だもんね」

「ほんとにねぇ」


口調はキツイけど、あれはあれで仲良しの二人なのかな。
手を繋いで公園から出て行っちゃった。



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