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「にゃおん」
元気だして。
声をかけたら、女の子はびっくりしたみたいにあたしを見た。
まんまるお目目でサラサラの髪の可愛い女の子だ。
どこかで見たことあるような気もするけど、思い出せないなぁ。
「黒ネコちゃんだ」
その子は一瞬あたしを見て嬉しそうにしたけど、しゃがんだ拍子にスカートの汚れがまた目に入ったみたいで、そのままうずくまって泣いちゃった。
「みゃー」
どうしよう。
あたしのせいじゃないわよ?
でも目の前で泣かれると辛いなぁ。
困って辺りをキョロキョロしていたら、少し離れたところでこっちを見ている男の子が居た。
タンポポを手に持って近づこうかどうしようか迷ってるみたい。
遠慮しないで早くおいでよ。
「みゃおん」
ねぇ、この子を慰めてあげてよ。
あたしが近づくと
「ひゃあ! 黒猫!」
っていいながら男の子は逃げた。
失礼しちゃう。あたしはお化けじゃないのよ。
でも男の子が居たところにはタンポポが落ちていた。
あたしはそれを口で加えて、泣いている女の子のところへ持っていく。
「みゃおん」
はい。お友達の男の子からよ?
「……え?」
女の子はキョトンとした顔であたしを見た。