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翌日、ミネちゃんはいつものようにぎゃーぎゃー騒ぎながら、それでもあたしの餌と水は忘れずに出かけていった。
あーあ。暇だなぁ。
ミネちゃんが居ないとつまんない。
ミネちゃんが、「お外に出ちゃダメよ?」っていつも言うから、あたしも結構我慢しているのよ?
でもね、それもお昼までが限界。
リモコンでつけたテレビも飽きてきちゃったし、何より体が鈍っちゃう。
大丈夫。どうせミネちゃんの帰りは真っ暗になってからだもの。
あたしはあたしで、自分らしく生きなくっちゃ。
そんな訳で、あたしはいつものように部屋から抜けだした。
「にゃーおん!」
ベランダから屋根を伝って、最後はひらりと塀の上にジャンプ。
我ながら軽やかだわ。
公園に行く途中の道で、声をかけてくれるのはネコ友達のキジちゃん。
「にゃーご」
モカちゃーん!
飛び跳ねそうな勢いであたしのところにくる。
キジちゃんは大事なお友達。ふにゃんとした雰囲気がかわいいんだぁ。
「みゃーおん」
ねぇねぇ、キジちゃん。何か届けて欲しいものとか、ある?
「にゃ?」
何かって何?
キジちゃんは小首をかしげる。
なんでもいいんだよ。あたし、タクハイさんになりたいの。
「みゃー」
タクハイさん……。
キジちゃんはそうぽつりというと頭をグルグルって回して。
ちょっと待っててねって言って、自分のおうちにもどっていった。
おじいさんとおばあさんと住んでるキジちゃんはとっても可愛がられていて、一度捕まるとなかなか出てこれないんだよなぁ。
そよそよと風に吹かれて待ちながら、あんまり遅いとどこか行っちゃうわよって思ってたら、意外と早く戻ってきた。