5
「にゃーおん」
おじさん、すごいのね。
そう言ったら、おじさんはしゃがみ込んであたしを見た。
「まるで話でも出来るみたいなネコちゃんだな。
サユが見たら喜ぶんだろうなぁ。
でもマンションじゃ飼えないしな。
君は、帰るところはあるのかな?」
「みゃー」
あるよう。
ミネちゃんのとこ。
早く帰りたいから、雨を止ませてほしいんだけど。
おじさん出来る?
「リボン付いてるから飼い主がいるんだろうな。
雨やむといいね。
俺も早く帰りたいな。
折角今日は早く終わったのに」
ふうと、おじさんが息を吐き出した。
すると少しだけ雨が弱まった気がする。
お空を見ると雲が薄くなっているもん。
おじさん。
もうちょっと頑張ってよ。
あたし、真っ暗になったらイヤだから、その前にお家に帰りたいの。