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 最近、ミネちゃんの帰りが遅い。

「あー、もう疲れたー」

帰ってくるとすぐ足を投げ出して、天井を向いて溜息をつくの。

ミネちゃん、違うでしょ。
待ってたあたしに言うこと無いの?


「にゃーおん」

「ああモカちゃん。お腹すいたよー。疲れたよー。でも先にちょっとだけ休みたーい」

「にゃーにゃー」

お腹すいたじゃなくて。
『ただいま』でしょ。
『モカちゃん、お留守番してておりこうだったね』でしょ?

あああん、褒められるのが好きなのに。
最近のミネちゃんは全然褒めてくれない。

あたし、寂しくっても一人でご飯食べたり、ぬるい入れっぱなしの水を仕方なく飲んだりしてるのに。

ああもう。綺麗なお水飲みたいよー。
本当はミルクがいいよー。

何でもいいから構ってよ、ミネちゃん!

「にゃー!」

大きな声で鳴くと、うとうとしていたミネちゃんが体をびくつかせる。

「ダメだ。気を抜くと寝ちゃう。……食べないと、もたなくなるし。うーん。でも疲れたー」

知ってるわよ。
こういうの、ドウドウメグリっていうんでしょ。
同じ事何度も言うんだよね。やるやるって言ってなかなかやらないんだよね。
知ってるけどさー、あたしだってフマンなんだからー。

「にゃーおん!」

ミネちゃん、あたしのこと構ってよ!

「うん。わかったわかった。寝ないよ、モカちゃん」

「みゃー」

違うよ、ミネちゃん!
あたし、遊んでほしんだよ。

ああもう、なんであたしの言葉はミネちゃんに通じないんだろう。




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