7 「……ちゃーん、モカちゃーん」
あれ? この声
「大丈夫だって。勝手に帰ってくるよ」
「知らない! 片瀬くんの馬鹿。よりによってベランダに出しちゃうなんて。モカちゃんが怒って出て行くの当たり前じゃないの」
「だって、あの状況でみゃ―みゃ―鳴かれたら落ち着かないだろ」
「それにしたってベランダは無いでしょ?」
あらら。
ミネちゃんとカタセくんだ。
あたしのこと、迎えに来てくれたのかな。
「みゃーおん」
大きく鳴いてみたら、ミネちゃんの声が近づいてくる。
「こっちよ。絶対こっち」
「みゃーおん!」
それを見ていたおじさんは、にこりと笑った。