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「おい、猫。知ってるか。このカメラで撮るとすごくキレイに写るんだぜ?」

「みゃー」

「普段は隠れてるものもふとした一瞬現れる。それを捕らえるのが俺の仕事。彼女のすがるような目も何度も撮った」

「みゃ?」

彼女って誰?


「お前のその甘えた鳴き声みたいに、口にだせばいいのにさ。……言わないから」


おじさんは、また写真を見た。
ああ、このヒトのことなのかな?


「俺が見つけてやんなきゃねぇって思うじゃん?」


カメラを構えて。
おじさんはあたしの方に向ける。

そしてとたんにフラッシュ。

みゃー!!
何なの! いきなり!
おじさん怖いよう。


「フー!!」


一気に離れて威嚇すると、おじさんは楽しそうに笑った。
ちょっと笑い事じゃないわよ。びっくりしたじゃないの。


「上手く撮れてたらやろうか。お前はどこの猫だ?」

「みゃおん」

ミネちゃんのよ。あたし、ミネちゃんちのモカなんだから!


「……帰るとこないならうちに来るか?」

「みゃー」

大丈夫だってば。あたしはちゃんとおうちがあるの!

「……なんて、な」


おじさんはくしゃりと笑うと、またカメラをかまえて今度はお月様を撮りだした。

変なおじさん。よくわかんないけど、なんだか寂しそうね。


ウワキについても、教えてくれないみたい。
困ったなぁ。



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