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「……そうですか」
寂しそうにアミちゃんが笑うから。
あたしはもっともっと手を舐めた。
アミちゃんのことも大好きよって、そう伝えるために。
その時、突然おひげがむずむずってした。
その途端にまた目の前がぐるぐる回りだす。
「モカちゃん!」
アミちゃんが、私を抱こうと手を伸ばした。
ぐるぐる回る。
アミちゃんの白い肌、茶色の髪、黒い瞳。
ぐるぐる、ぐるぐる。
……ああ。ママの色だぁ。
「……ママ」
「モカちゃん、ちゃんとミネちゃんのところに戻ってくださいね!」
ぐるぐる、ぐるぐる。
目が回るけど、なんかとっても、気持ちいいよう……。
次に目が覚めたとき、あたしはミネちゃんに抱き上げられるところだった。
アミちゃんがお願いしてくれたからかな。
「もう心配したんだからー。いつの間に玄関になんか回ってきてたの?」
「にゃーおん」
知らないよう。さっきまで月の世界にいたんだから。
あれ、夢だったのかな。色々あって面白かった。
ミネちゃんともお話できたらおしえられるのになぁ。
「あれ。何かミルクの匂い。どうしてかな」
「みゃーおん」
さあ知らない。
でも疲れちゃったからもう眠りたい。
今なら、ママの夢を見れる気がする。