8


その後も、サクラの花びらはひらひら舞い落ちる。

春は、恋のキセツ。

ポカポカしてて好きだけど。
今年はちょっと寂しいなぁ。

あたしも、誰かに恋が出来ればいいのに。

そうして、ママみたいなママになるの。

それってどう?
素敵じゃない?

あたしの考えをバカにするように、鼻に花びらが落ちてくる。

なによう。あたしもう子供じゃないのよ。
恋くらい、出来るよう!!


その時、お店のドアが開いて、こおひぃさんが顔を出した。


「やあ、小さなお客様。今日も来てくれてたんだね」

「みゃーおん」


こんにちは、こおひぃさん。


「あはは。今日は花びらでおめかしかい?
はい、特別サービスだよ」


口元に手をあてて、こおひぃさんは花壇の陰にミルクを置いて行ってくれる。


「にゃおん」


ありがと。こおひぃさん、いい人ね。
あたしと恋をしない?

こおひぃさんだったら、いいなぁ。
カタセくんより、断然イケメンさんだし。


「みゃ」


ね、こおひぃさん!


「ごちそうさま、かい? お行儀がいいね。モカちゃん」


ああん。あたしのコクハクは通じないみたい。

まあいいや。
ミルクでお腹も一杯になったし。

そしたら何だかイライラも飛んで行っちゃった。

幸せになるのに一番手っ取り早いのは、お腹を一杯にする事かも知れないね。






【fin】





prevTOP|next



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -