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「キズナは俺が抱くとすぐ泣きやむんだよね。
もしかしたらアヤはそれが悔しいのかなぁ。
『お仕事あるんだからちゃんと寝て!』なんて言ってさ。
部屋からは追いだされるし、一緒に寝させてくれないしで。
それがなんつーか。……なんつーかねー」
「にゃおん」
寂しいのね?
一緒に寝たいの、分かるよう。
あたしもママがいた時はひっついて寝てるの好きだったもん。
「アヤに触りたい……」
「みゃおん」
わかるわ。
あたしもミネちゃんにもっと構われたい。
カタセくんのせいよ。
もうもう、大っきらい。
「まあ仕方ないんだけどね。
俺たちには、赤ん坊預けるような相手もいないから。
たまに二人きりになりたくても無理だしなぁ……」
「にゃおん」
仕方なくないよ。
だってミネちゃんあんなにあたしに優しかったのに。
今なんか、熱に浮かされたみたいになってるんだから。
ああもう、春だからよ、きっと。
ハツジョーキってやつよ。