7


「お返事、何て書けばいいのかなぁ」


呟く声は、セミの声に負けちゃいそう。


困ったなぁ。

わたしは元気よ、とかじゃ駄目なの?

何でもいいと思うんだけど。お返事なんて。

ごめんね。
あたしじゃわかんないや。



「みゃーおん」


あたし、もう帰るね。

そう言って、ピンと尻尾を立てた。


すると、女の子は「えっ?」って声を出してあたしの尻尾の先を見た。


その子の視線が、尻尾から更に上へ上へと行く。
あたしの目に見えていたその子の鼻が見えなくなって顎だけになった。


あんまり、上を見上げてる人間の姿を見たことが無くって。

顔が無くなるんだーなんて思いながらボーっと見てしまった。


「空……」


ちょっと熱のこもった声で、その子がそう呟く。
つられて見あげちゃう。

青くて白い雲が綺麗なお空だ。


「そうだね。今の気持ちってこの空みたい。雲が晴れて、やっと遠くまで見えるようになった気がする」

「みゃー?」


お空みたいな気持ち?

まあ、晴れた空は元気そうだよね。
あたし、雨の日は元気出ないけど、晴れた日は元気出るもの。


「凄い、モカちゃん。ありがとう」


どういたしまして。
何をしたのかいまいちわからないんだけど。

あたしってすごいのかな。





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