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「あれー、モカちゃんだ」
「にゃーおん」
そうよ。
今日は一人なの?
ね、その手に持ってるの何?
その子があたしの近くまで降りてくる。
手に持っているのは、紙みたい。
ひらひら、風に揺れるから何だか気になっちゃう。
触っちゃダメかなぁ。
そう思って前足を伸ばすと、女の子は身を引いた。
「ごめん、これはダメ」
「みゃー」
ダメなの?
ひらひら、楽しそうなんだけど。
「あのね。大事な手紙だから」
手紙?
「でも返事をどうかいたらいいのか分からないんだ」
ふうん。
大変なのね?
「みゃーお」
じゃ、あたし行こうかな。
そうやって、背中を向けたのに、女の子はあたしを撫でながらまた正面にやってきた。
え? もしかして、行っちゃダメなの?