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「も、モカちゃん見つけた」
息を切らしながら、ようやく追いついたミネちゃん。
あたしを抱き上げて、頭にデコピンする。
「みゃん」
ううー。痛いよう、なにするのよう。
「勝手に出て行っちゃだめでしょうー?」
だってミネちゃんが遊んでくれないからいけないんだよう。
みゃーみゃー言い返してると、ミサちゃんって子が近寄ってきた。
「あの、可愛いですね。ちょっと撫でさせてもらってもいいですか?」
「え? あ、どうぞ?」
あたしは抱きしめられたまま、彼女の方に向けられた。
そのままひんやり冷たい掌があたしの頭を撫でる。
いやん。冷たいよう。
そんなオドオド撫でられるとくすぐったいから、ちゃんと撫でてよ。
そう思ってたら、なんとセイシロウくんまで近寄ってきた。
「俺も撫でたい」
「どうぞ?」
イケメンのセイシロウくんに、ミネちゃんは頬を染めてにっこり。
ミネちゃん!
気持ちは分かるけどダメ!!
セイシロウくんに触られるとニンシンになるのようー!!
「よしよし、うおー、可愛いな」
「うみゃーお」
助けてー!!
あたし、ニンシンになっちゃう。
なんて、あたしの叫びは誰にも届かず、
3人はにこにこしたまま何かお話しして、やがて、セイシロウくんとミサちゃんは歩いて行ってしまった。
ミネちゃんの腕の中で力なく崩れ落ちるあたし。