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その子の指の先を辿っていくと、公園の入り口に立つ男の人が見える。
背が高そう。
遠目だけど、カッコイイ顔はしてるわ?
テレビにでてくる男の人みたい。
「かっこいいよねー」
他の子が言う。
「でも、近付いちゃダメなんだよ。
セイシロウくんはキケンだからって、ママがお姉ちゃんに言ってた」
「えー? 危険って何?」
「それがねぇ。セイシロウくんは女好きだから、触られたらニンシンしちゃうって」
「えー、危険!!」
きゃーきゃー言う声がうるさいわ?
ニンシンって何だっけ。
なんか聞いた事ある気がするけど。
大変とかキケンって言ってるから、病気の名前かなぁ。
3人の女の子たちは、顔を見合わせると、頬に右手をあてた。
そして示し合わせたように声を合わせると
「怖いわねぇ」なんて、おばさんの井戸端会議みたいに言う。
そうか。
セイシロウくんは怖いのね?
じゃああたしも、近付かないようにしなきゃ。
「にゃーにゃー」
あたし、もう行くね。
「あ、モカちゃーん」
女の子たちが名前を呼ぶけど、あたし今日は公園で遊びたいんだよう。
草のカサカサって音を聞いて、虫を追っかけるのが今の流行りなんだもん。
そしてミネちゃんにそれを見せたりして、
「きゃー」
って言われるのが楽しいの。
なのになのに。
……ミネちゃんのバカ。
やっぱり一人じゃちょっとつまんないよう。