※年齢捏造
※デント20歳、サトシ16歳、シューティー16歳
※サトデン←シュー



あいつがアデクさんを倒してから6年が過ぎた。相変わらずあいつは旅をしているらしい。緑の人も一緒に連れて。
『シューティー、お前も一緒に来いよ!楽しいぜ!!』
『遠慮しておくよ…。僕は君とは分かり合えない』
そう、あいつがデントさんを連れて旅に出る直前、あろうことかバトルに僕が負けた瞬間そう声をかけてきた。タイミングってものを知らないんだあいつは。デントさんもあいつの後ろで気まずそうに笑っていた。
今思えばもったいないことをしたと思う。感性が合わないからって、何もデントさんと一緒に居れる機会を自分からぶっ潰すことはなかった。生まれ変わるならヤナップがいい。デントさんの。
「…デントさん…」
あれから6年だ。彼だって確か20歳になる。僕だってその分成長した。ここ数年で身長は18センチ伸びた。ポケモンに指示を出すのだってうまくなった。けれどやっぱり縮まらない差っていうのは否めない。
「はぁ…」
『ピピピ、ピピピ』
「!」
腰に付けたライブキャスターが震える。真っ先に思い浮かんだのは帽子を被った憎いあいつで、その次はアララギ博士だった。
嫌々ながらライブキャスターを手に取る。
「…はい」
『あ、もしもし、シューティー君?僕、デントだけど』
「あ、はい」
画面に映し出されたのは、僕が長年思い続けた緑の人。その隣は進化したのかわからないがヤナッキーまでいる。まぁ6年も経ったら進化させるか。
「ど、うしたんですか?」
『あぁ、何てことないんだけどね。アイリスに久々にあったから懐かしくなってね』
君と話したいな、って思ったんだ。
『迷惑だったかな?』
機械越しに昔よりも柔らかく、優しく笑う彼がいる。何もかもを包むような優しい、深い声。
「ボッドさん…とか、コーンさんは良かったん、ですか…?」
なるべく震えないようにと押さえつけるが、なかなか僕の声の震えば治まらない。
嬉しい。
『いやぁ、ほら、ボッドやコーンは兄弟だからね。それに、君の声が聞きたかったんだ』
いつもの笑顔。いや、6年ぶりの笑顔か。
「僕も、デントさんと、話したかった…です」
『そう?良かった。迷惑だったらどうしようって思ってたんだ』
「迷惑じゃないです。そうだ、今どこにいるんですか?」
バトルしたい。僕が強くなったことを認めてもらいたい。
会いたい。
『それがねぇ、今サトシの故郷に来ているんだ。マサラタウンってわかる?』
「…果てしなく遠いですね」
そうか。あいつと旅しているんだった。彼が流れであいつの故郷に寄らないはずがない。きっと断れず苦笑しながら付いていったのだろう。
『バトルしたかったなぁ…。シューティー君、すごく強くなったでしょう』
「そんなこと。デントさんには勝てないですよ」
やっぱり会いたい。
『おーいデントー、いつまで話してんだぁ?昼飯なくなるぞー』
「!!」
大嫌いな、ガキくさい声。デントさんは少し笑った。
『ごめんね、シューティー君。サトシが呼んでるから』
「あ…はい」
じゃあね、と言ってデントさんはライブキャスターを切ろうとした。
『今度会いに行くよ』
「えっ…」
ふふ、といたずらっぽく笑って、通信が切れる。まったく。
「…まってますよ」











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