サッカー部の奴らや、クラスの連中に南沢篤志という男のことを聞いたら、きっと内申のために頑張る嫌なやつ、と答える奴が多いだろう。実際、南沢はクールに、ときにシニカルに話し、相手の逆鱗を逆撫でするし、逆に内申のためなら媚びた声と笑顔さえ浮かべる。そんなヤツだ。
表向きは。
俺と南沢は家が近いということもあってか、よく互いの家を行き来し遊んだ仲だ。そんなヤツと十数年いれば大体わかる。
今日もミーティングの後に何やら車田の耳元で喋り、車田の機嫌を最大限に傾けた後一緒に帰った。まではいいのだが。
「さっ…さん、さんごくっ…!」
「泣くな篤志!耐えろ!家まで堪えろ!!」
「おっ、おれぇ…くる…っくるまだ、にっ」
道端でぐずぐずと鼻をすすりだしついに涙まで零し始める。これがまず部員にすら見せない本物の南沢篤志である。弱い。メンタルが物凄く弱いのだ。
「きらわれたらっ、ど、しようっ…!」
「落ち着け!」
泣きはじめたらパニックになってよからぬ妄想をしだす。大抵は嫌われたらどうしようやら、呆れられてないかな、など、保身的なことばかりで周りの目を気にする傾向にある。
家に帰ってそのまま篤志の部屋に向かえば、シンプルなベットの上に体育座りで待つ篤志。腕には茶色い熊のぬいぐるみ。
「…篤志…」
「…くぅ君がね…手、もげてっ…」
嫌なことは重ねておきるものだ。大事にしていたのであろうそのぬいぐるみには腕が無かった。
「さんごく…!みぃちゃんも、目取れて…!こうさんも、りん君もっ…壊れちゃったの…!」
ちなみにみいちゃんはネズミ、こうさんはネコでりん君はキリン。全部動物園やテーマパークなどで買ったものだ。篤志自身が。
そう、南沢篤志はぬいぐるみが好きだ。曰わく、もふもふで柔らかで、可愛いから。きっとみんなも見たことはないだろう。というか見せるわけもないだろうし、俺が見せたくない。
「裁縫箱を持ってきてくれ。これぐらい直してやるぞ?」
「ほんとか!?」
ぱぁ…と顔を綻ばせて綺麗に片付いた机から裁縫箱を取り出し持ってくる。
「こうくんも、みぃちゃんも、りん君もくぅ君も全部直してくれんの…!?」
きらきらと期待に満ち溢れた顔を見て、ああと返せば篤志は腕の千切れた人形たちを抱き上げてよかったねぇと笑い、また可愛くなれるねと頭を撫でていた。


そんなお前のほうが可愛いんだ




南沢さんは俺の嫁。
だが三国だけになら意外に幼い部分を見せるんじゃないか?→幼いっつったらぬいぐるみ→泣いたときにはぬいぐるみ→メンタル弱み沢さん=まじうまい^ω^
ショタみ沢とは違う美味しさです












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