ねむり

ミナマツ








「遅いよ」
「す…ごめんマツバ」
玄関で睨みを効かせるのは着流しに上着を羽織ったマツバで、土間で頭をぶつけながら土下座をしているのはミナキだった。
「君ねぇ、帰るって言ったならちゃんと実行してよ」
「本当にすまないマツバ!」
マツバの後ろでゲンガーたちが心配そうに成り行きを見守っている。
事の起こりはミナキがマツバに連絡を入れたことから始まった。
その日ミナキはカントーの学会に参加し、マツバに遅くはなるが11時頃には帰ると連絡を入れた。マツバはそれを了承しミナキのことだから前後1時間だろうと予測していたのだが。
「遅いよねぇ…11時頃がどうして日にち跨いで6時なのかなぁ…?」
「そっ、それは…」
ミナキはあろうことは学会の打ち上げに参加し、最終的にはマツバに連絡を入れたことすら忘れ、気付いた時にはポケギアの時計は午前5時を指していたのだ。
カントーは遠い。学会の会場からエンジュまでは1時間弱はかかる。
どうにかしてミナキはエンジュに飛び、マツバの家の門を小さく叩くと中から寝てるだろうと思っていたマツバ本人が出てきて今の状態に至るわけである。
「マツバすまない!本当に!」ミナキが頭を土間に押しつけると
「いや、いやいやいいんだよミナキくん。僕より打ち上げの方が大事なんだろう?」
と、物騒なことを朗らかな顔でしれっとマツバが言う。これの繰り返しである。
そして何百回目の押し問答をしようかとしたときミナキが顔をあげた。
「ま、マツバ!」
「なぁにミナキくん」
マツバが答えると同時にミナキが立ち上がった。
「本当にすまなかった!もう今は許してもらおうとは思っていない!」
「…は?」
意味がわからない、とマツバが言おうとしたときミナキはマツバを抱え上げた。
「…は!?」
「今まで弁解に夢中だったがお前のことだ。きっと寝ずに待っててくれたのだろう?」
「え、あ、うん、そうだけど。何するつもりさ」
どすどすと音を響かせながら寝室へと向かう。その後ろをポケモンたちがついてくる。
勢いよく寝室の障子を開け、マツバが昨日寝るために広げた布団の上にマツバを寝かせる。
「み、みな」
ぐん、とミナキの顔がマツバの顔に近づいた。若干マツバが身構えた瞬間ミナキがマツバの眉間を軽く押した。
「すまないな、眠かったろうに。あぁ、言いたいことはあるだろうが起きたときにしてくれ」
みなきくん。
にっこりと笑うミナキに戸惑うが襲い来る睡魔に勝てるわけもなく、マツバの意識はすとんと落ちた。




ミナマツは夫婦だと信じてる。着流しってエロいよね!!
鎖骨…鎖骨。


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