※不完全燃焼な話
※なにをされたんだマツバ
※厨二病







僕は昔からおかしかった。別に脳に異常があるわけではなく、体も五体満足だし、目に見えておかしいというわけではなかった。
ただ、他人と『見え方』が違う。視点の問題ではなく、みたい物が『見える』という、極めて特殊な目玉。それがどこにあろうと隠されていようと、殺されていようと実体があろうが物だろうが、他人が望み、みたい物はなんでも見れた。
いわゆる、『千里眼』。
だから僕という個体は殺された。手足をもがれた、みたいなそういうスプラッタの類ではない。自我を極力無くされた、それだけのこと。
嬉しいも悲しいも楽しいも、かわいいも綺麗も嫌いも好きも愛してるも悔しいもいらつくも死ねも、殺したいも、全部。大好きな両親、親戚、一族によって殺された。
恨んでなんかもないし、どうでもいいけど、せめてこの状況になんとか言葉で表せられるぐらいの感情は残しておいて欲しかった。
「なにしているの、ハヤトくん」
「……べつに」
何を考えてるの、まったく。腰に抱きつかれて動きづらい。なんで君、顔が赤いの。
あぁ意味がわからないよ。どう言えばいいのかな。君、なにを望んでいるの。
「なにをみたいの」
「はい?」
「今日、僕の目は調子悪いけど、なにをみたいの」
「難しい」
困ったな。文章中にて困った、と使えるけど、あんまり困っていない。それよりハヤトくんがわからないよ。千里眼が目的じゃないなら、なんで抱きつくの。
そしたら沈黙していたハヤトくんがしゃべりだした。僕には理解できないことを。
「…俺は、あんたの考えがしりたい。知りたいし、感じたいし、共感したい…」
「突然なにを言い出すの」
腰に顔をうずめてしゃべるものだから聞き取りにくい。もっとちゃんと聞きたいよ。
君が望むもの。僕が叶えてあげるから。
「…だから、あんたのこころがみたいモノ」
それは確かに難しいものだね。あれ、僕笑えるんだ。


こたえは至極簡単だけど、この世で一番難しいもの



半世紀に一度生まれるか生まれないかの千里眼のスキルホルダーマツバさん。きっと一族にいろいろされて人形みたいな末路かな
それを心配したハヤトが頑張ってマツバに感情を取り戻そうとさしたけど恋しちゃいました。みたいな


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テーマ「人外ファンタジー」
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