かくざとうのしろ








ぽちゃり、と塊を落とせば水面に円が浮かぶ。円はゆらゆらと振れてコップの壁に当たり消えた。
もうひとつ、もうひとつ。
琥珀色の液体は徐々にどろどろとしだし、溶けきらない白はコップの底にたまり半透明な輝きを見せた。
中学で習った、たしか、飽和とか。
まぁいいや。
マドラーを受け皿のへりに横たえらせて、コップに口をつけた。すぐに甘い、喉を焼きそうなほどの甘さが喉を伝い落ちた。
「…あー、無理」
気のせいか声ががさがさしている。しつこい甘さはまだ喉の奥の方でもやもやとしていて逆に痛い。
「よく飲めたなぁ…」
受け皿にコップを置き、苦笑を零した。
ある日を境に居なくなった助手はとても甘党で、ことあるごとに紅茶に砂糖を入れていた。それが尋常な量ではなくいつも不思議に思っていた。
「俺には無理だよ」
すぐに消費されるから大量に買った角砂糖も、あの子しか使わなかったキッチンに置かれた紅茶のティーバックも、俺には使い切れない。
君がいないと。
「早く帰っておいでよ」



隠されたしろ



角砂糖うまうま^ω^



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