夏の日差しが好きになる話


※うざやは通常運転






臨也さんが狂った。
や、まぁちょっと語弊を招くと思うから言い直そうと思ったけど、中々いい言葉が思い当たらない。その間も臨也さんはキャスター付きの椅子に跨りながらあはあはと笑っている。はっきり言って気持ち悪い。暑いのにあんなキモいもの見せられたら余計気分萎える。
「臨也さんうるさい」
「うほっ、正臣君!袖!袖まくってよ!」
「はぁ…?」
臨也さんががんがんと床を蹴って椅子を加速させる。目的が俺とわかっているから無駄な抵抗をしないで、半袖の袖を捲り上げた。
「あぁぁ良いねぇ!萌えだね、正義!」
「一体何に興奮してんすか」
「タンクトップ焼けだよ!」
うはうはと言いつつ、袖が捲られて現れたこんがり焼けた肌を間近で眺める。そういや確かにタンクトップの使用率が高かったしな。こういうときに限ってクーラーも扇風機も壊れて使えないから、仕方なくタンクトップや上半身裸で過ごしたんだった。
「もう脱いで!見せてタンクトップ!」
「うるせぇ騒ぐな気持ち悪い」
鼻息荒く近寄る臨也さんに本気で殺意を覚えつつ、袖を戻す。途端に臨也さんが残念そうにはぁーとため息をつくから、無性に殴りたくなった。
「見せてくれないなら俺にだって考えあるから…」
臨也さんの呟きを無視して、作業に取り組んだ。俺ってエラい。

仕事が一段落したから、臨也さんに休んでいいと許可を貰った。節電のためと、そんなことに微塵も興味無さそうな臨也さんに言われて、設定温度は28度の生ぬるい風を送るクーラーの下を陣取り昼寝をする事に決めた。
時計の音と、タイピングの音とクーラーの稼働音。それから時折聞こえる臨也さんの鼻歌。和やかな雰囲気に誘われてまどろみに身を任せて眠りに落ちた。

ひた、と体を這う感覚があった。それは段々と大きな動きになって、そこで漸く目が覚めた。
「…なんだこれ」
「ん?起きたの?まだ寝てていいのに」
臨也さんが馬乗りになっている。しかも携帯を片手に。カメラを起動しているのかカシャ、カシャとシャッターをきる音が聞こえる。しかもかなりの頻度で。
「退いてくれませんか。重いし暑いしうざいし邪魔」
「そんなこと言わないでよ。いいアングルなんだから」
ほら、と今し方盗撮し終わったものを見せてきた。上体を軽く起こしてその画像を見て固まる俺。
「んなっ…!」
「可愛いでしょ。ほらこれなんか癖がどうかは知らないけど、指までしゃぶっ」
「黙れ変態死ね馬鹿キモい阿呆馬鹿ぁ!!」
見せられた高画質な画像は一様に服がめくれていて、お腹が丸見えで、場所によっては鎖骨まで見えていた。
「大丈夫★ムービーだって撮ってあるし、さっきバックアップもとった!ばっちり!!」
死ねばいいのに。
そう思って勢いよく立ち上がろうとしたら、臨也さんが素肌に触れてきた。
「すべすべだねぇ…!」
「ちょっ、どこさわっ、て!」
胸を這い回る手は、もう何度となく経験した情事を思い出させるには十分で、快感を叩き込まれた身体はこんな愛撫じゃ足りなかった。浅ましく腰が揺れたのを臨也さんは見逃さなかった。追い討ちをかけるかのように胸の突起を弾かれ、左手を持ち上げられて、指先を甘噛みされた。
それだけで快感を拾い上げた身体は、二、三度大きく跳ねて、頭が白く染められた。
「あら?イっちゃったんだ?」
「う…るさ…!っ」
下げられもしなかったズボンの中がどろどろして気持ち悪い。熱い身体をクーラーが冷やしてくれるはずもなく、俺はぐったりしながら臨也さんを睨むしか出来なかった。
「いざや、さん…のばか…!」
「え、なんで?俺タンクトップ焼けが見たかったんだけど?」
「まじふざけんな…」
そんな理由でイかされてたまるか





スマートなエロが書きたかった。
描写は少ないけどがっつりヤりましたよーがわかるような。
ま、無理だったけど!


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