手がなくても足があるでしょう


※勢い






肉体がぐずぐすに焦げる。やがて骨が見えて、その骨すら直に黒い消し炭に変わるのだ。
「あ゛ぁ」
喉の奥から出された声は、最早声と言うよりかは獣のうなり声であり、つまるところ、自分が人間でないと確信させるのに十分だった。
暑い。熱い。
感覚すらない、手の先だったところに意識、否、むしろ全力を注いで地面をえぐる。感覚などは無いからそのまま、肉体が崩れようとも足掻き、地面を抉るしかなかった。
「う゛ぁ、あ゛」
視界が急に開けた。体が楽である。
「はぁー…はぁー…」
息をするとさっきまでは拷問だったこの行為に、生への光が見える。そうだ、生きるとは、こういうことだ。
しかし。
生きているのかはあやふやだ。
「は、ぁー…、あ!!」
勢いをつけて起き上がれば、目の前は白く。どこまでも白い。地平線すら見えない。
「こんにちは」
後ろから声がかけられた。低くもなく、高くもなく。少年の声だ。
「こーんにーちはーってば」
軽い、と印象を持つが、別段嫌な感じは持たない。どちらかと言えば好意を持てるような柔らかい声。
「誰だ」
振り返り、驚く。
そこに立っていたのは腕を無くした少年だった。
「平和島さん、こんにちはー。」
「…何をしているんだ?」
問えばすっとある方の腕、左腕を自分の方に伸ばし、こう言った。
「無くした腕を取り戻しに」
あなたは、何を亡くしたんですか?
「痛みを感じないから」
痛みを取り戻しに。
自分の手には焼け焦げた右手が握られていた。







さすが10分クオリティ。
静ちゃんと正臣、核戦争で死んだ影響であの世でも何かが足りず、探し求めるという。
核戦争話はいつか書いてみたいテーマでありますけど、絶対無理だろうなぁ


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