くろいひとのわらいごえ


※意味不明
※静正…なのかな…
※静正←臨だな




   じ
  じ
規則正しくもなく音が響く。
ときたま一定のリズムを刻んだかと思えばいきなりテンポが変わる。それほど美しい音でもないが部屋を埋めるにはこれくらいが丁度いい。妥協して響いているような音だ。
  じ
じっ     じ、
   じ。じ
変則的に刻んでいた音が何かの曲を奏でる。それはワルツみたいだったし、マーチみたいだった。つまりは不思議な音。音楽とはまるで違う、ばらばらな響き。
いくらか時間が経つと音に紛れて足音が聞こえてきた。
じ、   じ コッ 
  じッ       じコ
不規則な音に紛れて、ではなく、わずかに遅れて聞こえる足音。まるで輪唱だ。
コんッ
軽やかに何かを蹴る音がして鳴っていた音が消えた。
「──君、君はまだ寝てるの?」
声、だ。
静かな空間に響いた、声。
かつて、愛した人に似ている。
名前は、
    なまえ
         あの
  ひとの     なま
                え
 は
名前は。
「返事くらい、してよ──君」
じゃあ、俺の名前は。
俺は──だ。**。
*だ****。
虫食いにあったように名前が出てこない。
「ま**み君、俺がわかる?」
「あっ─────がい──さ─────」
自分でも何を言ってるのか分からない。
…………じ
またあの音だ。
あの音が聞こえてきた途端、***さんの声が小さくなった。
徐々に小さくなる声は、笑っている。
あははと女子高生が笑うようなバカ笑いでもないし甲高いいやな笑い方でもない。
楽しむような、それでいて悲しそうな笑い方だった。
「ばいはぃ、したく    ない      のに、ね     さようなら       の時間    だ」

じじ…じ、
        じがっが
電化製品が壊れたような音を上げて声が聞こえなくなった。頭が痛い。
じっがががじじがががぢがががっが
断続的だった終わりの音が今や連続で聞こえる。頭が
割れる。
あっあ、ぢぁぁぁあじがががああああああああああ
叫び声。

「正臣っ!!」
「…………………ぁ、」
パチリと目が開いた。開いた先に無情そうな白い天井と心配そうな目。静雄さん。
「正臣、正臣良かった…ほんとに、よかった…」
「俺、…………なんで」
ぐり、と頭を動かせば鈍い痛みがある。ぶつけたのだろうか。
「…覚えて、ないか…?」
「え…」
3流ドラマみたいなセリフを静雄さんが言う。聞きたくない展開が始まりそうな予感。
「、今は…寝てろ…お前は、」
────正*君、*して…──
「あ、っぅ…!?」
「お、おいどうした、正臣!」
何だ。
何だ何だ何だ何だ今のは。
誰だ、あの人は。
「…あっ、ぐぅぁぁああ!!あ゛っ、がはっ、がっ、あああ!!!」
痛い。
頭が、焼ける。
うるさい声がする。
くろい人がいる。
わらってる。
かなしそうに、こっちをみて。
──*してるよ─





―――
どうしてこうなった

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