▼ 12/03/14 (11:02)

トウヤとマツバpkmn


「やぁ、こんにちわ」
目の前の男がやけに朗らかに微笑んだもんだから、俺の戦意は明後日の方向に飛んでった。
金髪は軽やかに大木から飛び降りて俺の前で着地。体重がないのかと思うくらい静かな着地だった。
「僕の名前はマツバ。君は?」
マツバ…?マツバ…、って確かエンジュのジムリか! バッチ巡りをしていた俺にとっては好都合な事に向こうからやってきてくれた。ラッキー。
「僕はトウヤ。イッシュってとこから来ました」
「わざわざ遠くからご苦労様。こんな辺鄙な所に何か用かい?」
「人を探しているんです」
緑の髪の小さな、でも大きい王様を。誰よりも優しくて強くて馬鹿な王様を。
「…えらいね」
「は?」
マツバは切れ長の目を細めた。その表情がどこかアイツに似てると思った。やけにドキドキした。
「僕も」
「はい?」
「僕も人を探している。けれど、ここからは、逃げられないから」
纏ってる雰囲気は繊細で、美しくて、汚れてなくて。でもどこか危うげで、守ってあげないとダメな人種のような気がした。アイツだってそうだ。
というより、マツバは精霊のような気がする。神聖で踏み込んではいけない感じの。
「逃げられないって…」
「だから、待つしか出来ないんだよ」
笑ったはずなのに、俺の気持ちが全然楽にならないのは、マツバの心が泣いてるからに違いない。
「早く帰ってくればいいのに」
ぽつりと呟いたその言葉が、マツバの本音だと思ったのに時間はかからなかった。



待ちぼうけ待ちぼうけ



ミナマツとトウNでトウヤ君はNを追っかけ三千里

▼ 11/12/02 (14:53)

ヤナギpkmn

ヤナギさんがジムリ引退後

人と関わることを極端に避けはじめたのはいつからだろうか。
関われもしないのにどこかで誰かと添い遂げたいと思い始めたのはいつからだろうか。
歳をとるとそんな些細なことすらも懐かしく思えるものだ、とヤナギは空を仰いだ。鳥ポケモンが中を自由に舞う。とても優雅なしぐさだ。
そういえば鳥使いの彼は相変わらず鳥使いの中で自由に空を舞うことを夢見ているのだろうか。あの女の子、アサギの風はまだ柔らかいのだろうか。
そうそう、小さいのに考古学者としてかんばる彼はもう立派な博士になれたのだろうか。
イブキやシジマは次の世代に業を教えているらしい。
それと。
あの夢に破れた彼は、何をしているのだろうか。
闇をそのまま切り取ったかのような深い色をした瞳が特徴的だった。
老人というものはいやなものだな、と改めて感じた。
何もかもが、もう昔の色ではない。

▼ 11/10/18 (22:28)

臨正drrr




愛することは縛ることだ。
自分を縛り付け、ただ一つを傍に置く。
この世の中で一番残酷で美しい方法だ。愛するということは。
愛されるのではない。包み込むような愛が欲しいから愛すのではない。ただ居たいから、それが活動源だから。
「俺のすべてはこの考えからきているんだよ」
「なんすか、その持論」
「よくわかんない」
ただ愛したいだけだ。
その先は、何もなくても。



明るい方へ、あかるいほうへ【金子みすゞ詩集『明るい方へ』より】



ホンマでっか見てたら書きたくなった

▼ 11/10/04 (21:02)

??

※セリフなし




誰かを護るために、何かを犠牲にする。
俺の場合、誰かが『**』で何かとは全てであった。つまり、俺はあいつを護るために生きているようなものだった。
辛いとは思わないけど、見てもらいたいと感じる。君が好きなんだよってことを知ってほしい。
だから君が望むことに俺は従う。


▼ 11/09/10 (17:41)

?←正drrr

とても落ち着かない。この人が隣にいるのが今日から日常になるのだから仕方がない。
そうは思っても今まで他人として過ごしてきたのに、今日からひとつ屋根の下に住むとわかるとどうにも気持ちが波打って、ああもう何がしたいんだこの人は。
俺の気持ちを惑わして何する気だ、こんちくしょう。
目と目がぴったりと視線の上で絡まった。うおおこんなに恥ずかしいのにまだ恥ずかしい気持ちにさせるのか、この人は。天然たらしか、その才能俺にください女の子に使いますから。
緊張しているのかと聞かれてただ首を上下に湯することしかできない俺はとてもこの人には滑稽に見えるのだろうな。


あんた気づいてください

▼ 11/09/01 (12:59)

臨正drrr

逃げるきっかけは、結局自分で作らなければいけない。
でもその逃げるために犠牲になるのは最終的に自分。
そんなに自分を猫可愛がりしてきたかと言われればそういうわけでもないが、なんとなく自分が傷つくのは何よりも、自分が見ていたくないと思う。そんなわがままな人間だ。
だからこの現状に甘んじて生活している俺がいる。なれない愛想笑いを浮かべて。好きでもない相手と体をつなげて。泣いて、叫んだ。
助けてと叫びかけては口を噤んだ。誰でもいいけど、この男には聞かれたくない。小さな意地。強い決意。
だから今日も笑ってやる。人間が大好きで人間に愛されないかわいそうなこの人に。
結局ここから抜け出したくないのは、やっぱり自分だった。


どっちも弱い

▼ 11/08/12 (13:58)

デンマツpkmn

※高校生



大概どんな平和なクラスにもいじめは存在する。そしてそれは上辺がいい奴が主犯だったりする。俺はいじめなんて興味ないし、参加もしない、いわゆる傍観者だった。だったとつくから過去形だ。
3年4組としてこのクラスに編入してきたのがマツバだ。私服OKなこの高校でさえ目立つマフラーと、綺麗にうねる金髪がトレードマークの優男だった。
しかしその優男ぐあいが逆に逆鱗に触れたらしく、転校早々いじめのターゲットになっていた。あいさつは交わされない、話しかけない、無視。決して暴力には持ち込まない、陰湿極まりないものだ。それでもマツバは気にした素振りも見せずに毎日学校に来た。
あるとき、俺は授業をサボって屋上を目指していた。数学なんて面倒でやっていられない。
屋上のドアノブを軋ませながら開けると先客がいた。
マフラーが風に揺れて、俯いている。手持ちのゲンガーが心配そうに彼――マツバを慰めていた。
「ゲンガー…僕のどこがいけないのかな…」
聞こえてきたのは小さなつぶやき。震えているようだ。泣いているのか。あのマツバが。
「僕…、どうした、ら…い…のかなぁ…」
肩が小刻みに震える。ゲンガーの体を抱き寄せて、ぐずぐずと泣き出した。しゃっくり上げる声がとても弱々しくて、もしかしたら彼はこのまま消えてしまうのではないかと不安になった。
俺は静かにドアを閉めた。人間ていうのは本当にわからない。
だけど、『大切にしたい』と思える奴を見捨てるのはかっこ悪い。
確かな怒りを胸に俺は教室に戻った。




平穏が欲しいだけなんだ




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