「も〜!土門くんの意地悪」

「わりぃわりぃ」



そう言って土門は秋の頭をポンポンと撫でた。あれは秋だけではなく俺にもたまにやってくる背が高いなりの土門の癖なのだ。


‥‥そう。
背が、高いから。


思えば土門は小さい頃から周りより頭一つ分大きくて俺はそれが少なからずうらやましかった。中学生に入っても成長期とやらはなかなかやってきてくれず俺の身長は秋とほとんど変わらない。

抱きつくのだって、少し背伸びをしないと格好がつかないくらいだ。






「‥なぁ、土門。身長ってどうやったら伸びるんだ?」


その日の帰り道、俺はたまらず土門に聞いてみた。


「身長?さぁ‥俺の家は両親も背が高いから、遺伝じゃねーの?」

「‥遺伝」



生憎うちの両親はどちらも平均的な身長なのでそれでは期待をもてそうもない。
かと言ってここで諦めるわけにもいかない。



「よく食べてるものとか無いのか?」

「あー‥。それなら‥」











* * *





このところ一之瀬くんには新しい習慣が出来たみたいで。朝もお昼も部活前も部活後もそれをかかしていない。



「‥一之瀬くん牛乳そんなにすきだったっけ?」


今日も今日とて牛乳ビンを片手に持つ一之瀬くんに私は思わず聞いてみた。


「‥‥う、うん‥まぁね!」

「そう‥」



アハハ、と笑う俺に秋はキョトンとして初耳だなぁと首を傾げた。そんな秋を横目に俺は牛乳を一気に飲み干した。



(とりあえず目標は‥)





プラス15センチメートル






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