冬のことだった。


カーテンをあけると一面の銀世界というやつで、道理で寒いわけだと俺はもう一度布団に潜り込んだ。

(あったかい…)

二度寝はどうしてこうも心地良く、布団はどうしてこうも最適な温もりをくれるのか。微睡む意識のなかで円堂はこんな雪の朝でもサッカーの練習をしているのだろうかと考えたが、どう頑張っても鼻の頭を真っ赤にしながらボールを蹴る円堂の姿しか浮かばず少しおかしかった。

生憎と今日の俺はこの心地よさから離れられそうにないなともう一度寝直そうと体勢を整えたときだった。



プルルル プルルル…



(誰だろうこんな朝早く…)


机の上で鳴り響く携帯は布団から出ないと取ることが出来ない。

(……だめだ、ねむい)

何か用事ならまたかけてくるだろうと俺は静かに目を閉じた。それと同時に携帯は留守電へと切り替わりメッセージが聞こえてきた。





『ー…あっ、一之瀬君?私、秋だけど。寝てたらごめんね』




その瞬間俺はベッドから跳ねるように飛び起きた。





何よりの原動力




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