「そういえば、一之瀬くんのお家に来るのすごく久しぶり」

「そうだね、何年ぶりかな」



なんてことのない夕食後の会話。

今日は両親が結婚記念日で家を空けるのだと言うと、それじゃあと秋が夕方から俺の家に来て晩御飯を作ってくれたのだ。



「秋は良いお嫁さんになるね。ご飯も美味しかったし」

「またまたぁ、褒めても何もでないんだから」

「俺は思ったことを言ったまでだよ」




テレビは付けているものの、俺にはほんのBGM代わりでこうして秋と過ごす時間をかみしめていた。

こたつを挟んで向かい側にいる秋は若干テレビに意識を持って行かれていて歯がゆいのだが。




(秋と結婚したら毎日こんな感じなんだろうな‥)



何気ない一瞬がすごくしあわせで、くすぐったい。叶ったとしてもまだまだ先の未来に俺は静かに微笑んだ。





「‥りんごあるけど、食べる?」

「うん!私がうさぎちゃん型に剥いてあげる」

「それは楽しみだな」




(これであと30分は一緒に居られる、)







次はどうやって君を引き留めようか






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