「‥‥と言うわけで宮坂についてきて欲しいんだっ」 「別に、良いですけど‥」 頼むっ!と憧れの先輩に頭を下げられては断るわけにも行かず、俺は渋々と風丸さんのお願い事を承諾した。 風丸さんには冬花さんと言う彼女が居る。 サッカー部のマネージャーらしく、陸上部で学内マラソンをしているときに一緒に居るのを見かけたのが最初だった。それからはチラホラと2人で居るところを見かけていて何となく予想はしていたけれど風の噂で彼女だと言うことを知った。 そんな春真っ盛りな風丸さんが珍しく1人で、しかも陸上部に顔を見せたと思えば俺を呼び出して「冬花の誕生日プレゼントに何を買えば良いかわからない」と言った。 そして冒頭に至るわけで。 サッカー部の人と行けばいいんじゃ‥と一瞬思ったが風丸さんのことだからからかわれるのが嫌なんだろう。 「‥でも俺、女の子の‥と言うか風丸さんの彼女の趣味なんてわかりませんからね!」 「わかってる!とにかくありがとう宮坂!」 じゃあ今度の日曜日な、と言い残して風丸さんはサッカー部の練習へと戻って行った。 (‥あんな楽しそうな風丸さん、久しぶりに見たかも) 陸上をやっていたときも、サッカーをやっているときも風丸さんは輝いていたけど、それとはまた違う、何か。 「‥‥冬花さん、か‥」 風丸さんにあんな顔させるなんて、やっぱりただ者じゃない!なんて思いつつ俺は陸上部の練習に戻るのであった。 悔しいけれど、お似合いです [*前] | [次#] |