「トウコ、観覧車に乗りに行こうよ」 「また?この前も行ったじゃん」 「今日も乗りたい気分なんだ」 「………しょうがないなぁ…」 「ありがとうトウコ!」 なんだかんだ言って、やっぱり私はNに弱いのだ。 このピュアでイノセントな瞳に見つめられるとどうしてもノーと言えない。いや、言わせない何かが働いてるとしか言いようがない。 現にこうしてもう何度目になるかというほど乗った観覧車に足を運んでいるわけで。 しかしそれも隣で楽しそうに歩くNを見ていると、まぁ良いかと思えるのだから惚れた弱みと言う奴か。 (…そういえば、) 何度も2人で観覧車に乗ったが隣り合わせに座ったことは一度もない。いつも向かい合わせなのだ。 自覚して見ればむず痒いもので、もやもやとした気持ちが湧き上がってきた。 (どうしよう) 乗る瞬間に、さり気なく隣に座ってみようか。あぁでもNに変な目で見られたら。 そんなことを考えている間にも観覧車は回り続け、そして。 「あ…あのさ、N…」 [*前] | [次#] |