「えっ‥うそ‥」



阿散井くんの言葉に僕は思わず耳を疑った。だって、今、なんて‥?



「だからよ、お前、市丸の野郎と結婚するんだろ?」




(そんな、バカな!)








「‥隊長っ!!!」



スッパーンという効果音がぴったりなくらい勢いよく襖を開け放ち、隊長席で珍しく書類にサラサラと記入をしている上司に僕は詰め寄った。



「なんやイヅル〜。そない慌てて」

「なんやじゃありませんよ!どういうことですか‥!その、けっ‥結婚する、だなんて‥」



慌てていたとはいえ、自分で言いながら恥ずかしくなりだんだんと声が小さくなってしまった。

そんな僕を頬杖をつきながらニヤニヤと見つめる隊長がまた小憎たらしい。



「やっとイヅルのとこまで届いたかー」

「はぁ‥!?」



それってどういう意味ですか、と言う前に隊長は続けて口を開いた。



「だって、イヅル普通にプロポーズしてもいつも信じてくれへんやろ?せやから、」



あぁ、もう、だから隊長なんて嫌いなんだ。いとも簡単に、こんなに僕の気持ちを動かしてしまうから。



「せやから、ここ最近ずっと周りの人にイヅルと結婚するって言いふらしててん。」

「‥‥‥っ」



ボクの覚悟伝わった?と隊長は先ほどまで記入していた書類を僕に差し出した。仕事の書類だと思っていたそれは、婚姻届だった。



「結婚しよ、イヅル」







驚愕した日

(あぁもう、泣いてしまう)