「飽きた」



いきなりそう告げたかと思うと、既に隊長の姿は無くなっていた。

僕はまたか、とため息をついたがすぐそばにいた三席の書類は片付けて行ったようですよ、と言う言葉に安堵した。

隊を束ねる長のせいでこれ以上部下たちに残業をさせるわけにもいかない。





「どうです副隊長、隊長を探しにいかれては?」

「だが仕事が‥」

「良いではないですか、たまには」




(‥あ、そうか)





三席の笑顔に暗に“休憩してきて下さい”と気を使われているのだと知り、僕はお言葉に甘えて執務室を後にした。


















「‥‥ふぅ」




まだ執務中の時間なので阿散井くんや雛森くんに会いに行くわけにもいかず、僕は文字通りふらふらと瀞霊挺内を歩いていた。

こんなに何もしない時間は久しぶりだ。





(三席も気を使ってくれた訳だし、せめて隊長を連れ戻さないとな‥‥ん?)





ぼんやりと考えていると、ふと隊長の霊圧を感じた。

何時もは僕に見つからないように消しているのに、それを感じると言うことは。





「迎えに来いってことですか?隊長‥」





全くあの人は、なんて思いながら両頬は緩んでいたに違いない。

今までふらふら歩いていたのが嘘のように僕は霊圧を感じる方へ駆け出した。








駆ける日

(早く貴方に逢いたい!)