(一之瀬くん、今なにしてるのかな)


雪の降る帰り道、マフラーに顔をうずめながらふと考えた。

それと同時にすぐに会える距離に居ないことの寂しさを身にしみて感じた。ついこの間までは、隣にいたのに。

寒さで赤くなってしまった指先に自分の吐息を吹きかける。


(寒いなぁ‥手袋忘れちゃったよ)





「あ‥‥」





違う。

忘れたんじゃない。



いつもは一之瀬くんが握ってくれるから要らなかったんだ。

何度恥ずかしいと言っても離してくれなくて、でも繋いだ手がとても暖かくて。その暖かさがしあわせなんだってことに気づいて。




「一之瀬くん‥」




逢いたいよ。




(‥しもやけになったら一之瀬くんのせいなんだから)



キンッ‥と冷えた空気を肺いっぱいに吸い込み、冷えた手をすりあわせながら私はまた歩き出した。








そちらの冬は寒いですか





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