「玲名、勉強教えてくれないか?」

「またか、今度は何の科目だ」

「英語を‥」




テスト前はこうして玲名に何かしら勉強を教えてもらうことが常になった。

言っておくが俺も勉強が出来ないと言うわけではない。成績も中の上と言ったところだ。だが、玲名は。




「こんな簡単な問題がわからないことが理解できないな」




上の上、所謂トップクラスと言う奴だ。




「俺には玲名の頭の方が理解できないよ」

「無駄口を叩く時間があるならさっさと問題を解け」

「わかってるよ」




こんな感じで玲名はスパルタだが(いや、でも女子には優しい)教え方は物凄く分かり易い。









「‥‥玲名、いつもありがとう」

「なんだいきなり‥」

「いや、俺だけでなく玲名が勉強教えてくれて助かってる奴は多いからさ」




由宇とかね、と俺が言うと玲名はあいつの物覚えの悪さは一級品だ、と鼻で笑っていた。




「今度、何かお礼させてよ」

「お礼?」

「うん、玲名のお願いを1つだけ叶えてあげる」

「‥上から目線だな」




若干不満がありそうだったが、玲名は直ぐに何かを言いたげに俺の方を向いた。






「‥‥‥に‥‥‥てけ」

「え?」

「‥だから!」






駅前に出来たケーキ屋に連れてけ!!









「あ、うん‥良いよ」




‥いきなり立ち上がって言うものだから些か驚いたがすぐに玲名の言うケーキ屋は頭に浮かんだ。

確かこの前オープンしたという人気のお店だ。




「ふんっ‥どうせ私に甘いものなど似合わないと思っているのだろう」

「思ってないよ」




そんなこと気にするなんて、やっぱり玲名も女の子だな。




「むしろ、可愛い思うよ」

「なっ‥!馬鹿にするなっ」




怒らせたかな、と思ったがそれは思い過ごしだった。ケーキはお前の奢りだからな!と言いながら玲名は急いで部屋を出て行った。

垣間見えた赤く染まった頬がまた可愛いと思った。




(楽しみだな‥)



久しぶりに玲名と2人きりになれそうだ。














甘いもの好きな君











補足
ウィーズの本名:伊豆野由宇






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