医師に、再手術の必要を聞かされ俺の世界は再び真っ暗になった。

手術の成功率も高いものではない、しかも成功したとしてもサッカーが出来るかどうかもわからない。だいすきなサッカーを永遠に奪われるかもしれないという不安と恐怖に俺は押しつぶされそうだった。

昔のことを知っている土門はともかく、他のユニコーンのメンバーには心配をかけたくない。大事な試合の前に、みんなに気を使わせたくなかった。




‥でも、だけど、

俺ひとりで抱えるには、余りにも重すぎた。




そんなとき思い浮かぶのはいつも決まって秋の顔だった。

秋とはアメリカに戻ってから一度も連絡を取っていない。それは秋に頼ってしまおうとする自分への戒めだった。けれど。






「秋に、逢いたい‥」












ディスプレイには秋の携帯の番号。あとひとつボタンを押せば、繋がる。

俺はもう一度深呼吸をし、意を決してボタンを押した。いつもと同じ発信音が、カウントダウンのように感じられた。

何度目かの発信音が途切れ、スピーカーから聞こえてきた待ち望んだ君の声。







『もしもし、一之瀬くん?』

「‥秋、話があるんだ」








懐かしい声に、それだけで鼻の奥がツンとした。







逢いたくて仕方なかった







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