お兄ちゃんと離れ離れになってから、私は必ず月に一度電話をかけた。 発信音がして、受話器を取った音がして、お兄ちゃんは居ますか、と聞いた後に帰ってくる言葉は決まって 有人は出掛けています だった。 また次の月になるまで私は折り返しの電話を待ち続けたが私宛てに電話が来ることはなかった。 何回目のことだったろうか。 私は電話をかけることを止めた。 きっとお兄ちゃんは自分のことなど忘れて幸せに暮らしているんだ、今の家族が好きだから私のことは邪魔なんだ、そう思った。 私も幸せだけど、お兄ちゃんのことを忘れたことなんて一日もなかったのに。 お兄ちゃんが私のことを嫌いなら私もお兄ちゃんのことを嫌いになろうとしたけれど、思い出すのは私を護ってくれる優しいお兄ちゃんのことばかり。 嫌いになるなんて そんなことできない。 だって貴方は私の、 お兄ちゃんだから [*前] | [次#] |