※高校生パロ












放課後、教室に最後まで残って窓の外を眺めている君を俺は何度か見かけていた。





「八神さん」





名前を呼ぶと、彼女は驚いたように振り返った。





「お前は‥」

「基山ヒロト。一応同じクラスなんだけど‥」





知ってる?と聞きながら俺は彼女の前の席に腰掛けた。こんなに近くで彼女の顔を見たのは初めてかもしれない。ブルーの瞳が印象的だと思った。





「知っている。‥サッカーやってるだろう」

「嬉しいな、そんなことまで知ってるなんて」





内心驚いた。
彼女とこうして話すのはこれが初めてだし、クールな外見と口数の少なさもあって彼女はクラスで孤立しているのだ。




「‥‥‥いつも見ているからな」




そう言って彼女は窓の外を指差した。つられて外を見るとグランドが見えた。




「あ‥」




そして、そこから一番良く見えるのはいつもサッカー部が使用しているフィールドだった。




「お前、今日は練習しないのか」




なら私は帰る、と彼女は席を立ち手早く荷物を纏め教室を後にしようとした。




「やっ‥八神さん!」

「なんだ」

「‥‥あ、えっと‥め、メルアド教えてくれないかな!」




突然の話の流れに動揺し、思わず呼び止めてしまったが気持ちの整理がついているわけでもなく出てきた言葉はそれだった。




「あぁ‥悪いが私は携帯をもっていないんだ」

「‥あ、そうなんだ」




じゃあ、と彼女は綺麗な髪を揺らしながら帰って行った。






そんな恋の始まり






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