朝起きると、隣にグランが寝ていた。





「‥‥‥」






幸せそうに寝ているグランを見て、とりあえずひっぱたくことにして右手を大きく振りかぶった。








「‥全く。お前と言う奴は何度言ったらわかるんだ‥!」






頬に手のあとを残しながら仁王立ちのウルビダの前に正座している‥いや、させられているのは勿論グランだ。







「私の部屋に勝手に入るなと言っているだろう!」

「でもウルビダ‥」

「言い訳はいい。お父様に報告しておくからな」

「‥すいません」



「だいたいグランは普段からな‥」






‥‥‥‥


‥‥






「次は平手じゃ済まないからな」

「‥わかったって、ウルビダ」







小一時間みっちりウルビダに説教をされたあとグランはやっと解放された。






「あ、ウィーズ」






部屋から出るとウィーズが壁に寄りかかっていた。大方立ち聞きでもしていたのだろう。






「また派手に怒られたな、グラン」






まぁね、と頬の手形を指差すとやれやれと言った顔をされた。






「もう何回目だ?いい加減夜這いはやめとけって」

「ははっ、それは無理だよ」

「懲りないなぁお前」





意味わかんねぇ、とウィーズはその場を去った。






(‥止めるなんて、無理だ)







ある時だった。

ウルビダの部屋の前を通りかかったときドアの隙間から一人で泣いているウルビダの姿を見た。泣きながら、眠るウルビダの姿を。

思わず部屋に入り泣いているウルビダの手を握ると、うっすらと涙で濡れた目が開き嬉しそうに笑ったのだ。‥本人はその事を覚えていないけれど。

でもそんなことは関係ない。

その時決めたのだ、

君が安心して眠れるまで側に居る、と。









君の涙を拭う僕の指






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