「風丸さんの髪、結わせて貰えませんか?」

「え‥なんで‥?」






今日も練習が始まるぞと言うときだった。準備体操をしていると音無さんが話し掛けてきたのだ。






「なんでって‥風丸さんの髪、サラサラしててさわってみたくて!ダメですか?」






あぁ‥そんな上目遣いで頼まれたら嫌とは言えないじゃないか。あとで鬼道に小言言われるかもとかどうでも良いや、と俺は思ってしまったわけだ。







「‥別に、良いけど」

「やったぁ!ありがとうございます!」







じゃあ早速そあそのベンチに座ってください!と音無さんは俺を誘導していつもマネージャーさんたちが座っているところへ連れていかれた。






「では‥失礼して‥」







一度自分で結った髪を解かれて髪の毛が落ちてくる。






「うわー本当に綺麗なストレートですね‥!」


「私、癖っ毛なんで羨ましいです」


「シャンプー何使ってるんですか?」







愉快な声をあげながら櫛を通す彼女に俺はされるがままだった。何となく伸ばしてきた髪だったが、今はそんな自分に感謝せねばならない。






「‥はいっ終わりました」

「ありがとう」

「いいえ!こちらのセリフですよ〜。今日も練習頑張って下さいね!」

「あぁ。‥それと、さ‥」

「?」

「また結ってもらって良いかな?」










喜んで!





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