「秋ー」

「きゃっ!‥もー粋なり抱き着くのは止めてって言ってるじゃない」






プンプン!と言う効果音が似合いそうな顔を見て一之瀬はごめんごめん、と秋から離れた。






「アメリカでの習慣がなかなか抜けなくてね」

「とか言って他の人には抱き着いてないくせに」

「ばれてた?」

「もちろんよ」






お互いに顔を見合わせそして同時に吹き出した。






「やっぱり一之瀬くんといると落ち着くな」

「あぁ、小さい頃を思い出すね」

「‥ね、サッカーやらない?」

「俺と秋とで?」

「うん、私から蹴るね!」






ボールを持ち秋は早く早く、と空き地の方へ駆けていった。つられて俺も空き地へと走る。







「行くよっ一之瀬くん!」






秋が思いっきり蹴ったボールは放物線を描いて真っ直ぐ一之瀬の胸に落ちてきた。







「上手いじゃないか、秋」

「伊達にサッカー部のマネージャーやってないからね!」







(あの頃と変わらない、優しいボールだ)







きみはきみのまま






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