※十数年後設定 ※悲恋 「久しぶり、秋」 「‥久しぶり、一之瀬くん」 「綺麗になったね」 「一之瀬くんこそ、かっこよくなってるよ」 何年ぶりになるのだろうか、俺と秋は再会を果たした。 「旦那さんと‥幸せかい?」 「‥うん」 「そっか、」 「‥‥」 秋は、大学を出て直ぐに結婚したと土門から聞いた。 俺はその時ずっと連絡を絶っていた秋に会いたい、と一言書いて手紙を送った。 「俺もずっと秋のことすきだったのに」 「うん、知ってる」 「そうだっけ?」 「そうだよ」 手紙を受け取ったとき最初はイタズラかと思った。 でも便箋に書かれた字は間違いなく一之瀬くんの筆跡で、私は待ち合わせ場所に足を運んだ。 「秋、最期に、昔みたいに抱き締めても良い?」 「うん、良いよ」 昔よりも秋が随分と小さく感じた。‥あぁ、俺が大きくなったのか。 顔は見えなかったが秋が泣いている気がした。 (ずっと待ってられるほど強くなくて、ごめんね) 冷たい温もり [*前] | [次#] |