「イヅルちゃーん」

「‥また、何か用ですか市丸会長‥」




“また”と言うところを強調してイヤミだと言うことをアピールしても目の前の狐はわかっているのかわかっていないのか相変わらずのにんまり顔で僕の机の隣の席に座った。
そこは阿散井くんの席なのに。

‥兎に角この会長様は、ことあるごとに僕のクラスへやってくるのだ。





「今日いきなり部長会議が延期になってなぁ、暇やから放課後遊び行こ」

「生徒会長みずから寄り道を公認してどうするんですか。どうぞ素直にお家にお帰り下さい」

「冷たいなぁイヅルちゃん」

「頬をつつかないで下さい頬を!」





全くこの人はそんな事すれば僕がかわいいと思うとか考えているのか‥いや、会長はかっこいいけどさ。

こんな会長だから毎回僕もいつの間にか流されてあんなことやこんなことを今までやってきてしまったわけで。

でも今日こそは、流されない。

僕は家に帰ってゆっくり読書をしたいんだ‥!





「えぇやん、イヅルぅ」

「駄・目・で・す!」

「えー」

「えーじゃありません。さ、早く帰らないとチャイム鳴りますよ」





このまま大人しく帰ってくれと心の中で祈りながら会長を追い返そうとすると会長はふぅ、と言いながら席を立った。






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