「‥市丸さん」

「んー?」




他愛もない話をしながら食事を進めているとイヅルは粋なり箸を置き、斜め下を向きながら何やらぼそぼそと呟きだした。




「あの、その‥今日は雨で本当に残念ですが‥」

「うん」

「こうして市丸さんとふたりっきりでお家で過ごせて実は僕すごく嬉しいんです」

「せやけど、やっぱり外のが色々あって‥」

「ちっ違うんです‥!」

「へ?」

「外だと‥市丸さんはかっこいいから、色んな女性の方が‥市丸さんを見てるから‥その‥」




「お家に居るときは僕だけの市丸さんだから」






だから、ちょっと雨も良いなって思ってしまいました。


顔を真っ赤にしながらいつの間にか少し身を乗り出してそう云ったイヅルが勿論可愛くて仕方がなくて。

さっきはあんなに憎かった雨だが前言撤回。今は感謝をしなければいけない。



こんな可愛い恋人の姿を見られたのだから。





(‥イヅル、ベッドいく?)

(‥‥‥っ!)







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