意外と思われるかもしれないがボクは案外体温が高い方だ。 身体も冷えないし、冬場に手が冷たいなどといって両の手を擦り合わせることも殆ど無い。 しかしどうだ。 自分の副官は夏でさえもひんやりとした手をしている。何かの病気なのではないかと問えば、ただの末端冷え性であるとの答えが帰ってきた。 そんなイヅルの手を温めてやることがボクの日常となったのは何時からだろうか。 冷たいイヅルの手をとり、自分の両の手で包み込み、自分の体温を与える。指先をマッサージして血の巡りを良くしてやる。 「いつもありがとうございます、隊長」 「うん」 マッサージを終え、イヅルの手のお陰で一時的に冷たくなってしまった自分の手を擦り合わせてみる。 (イヅルの体温‥) それは冷たく温かな幸せ [*前] | [次#] |