戸越しに聞こえてきた疑いを孕みまくった声に男はそれはまぁ確かに‥と妙に納得してしまいました。




「‥‥‥ってそうやなくて!あぁもう‥ほんなら本当のこと言うからいれてぇな」


「本当のこと‥?」


「ボク、昼間キミに助けてもろた狐やねん!どうしても恩返ししたくて来たんやで!‥な?だから入れて?」





必死に力説をする狐の話を聞いて、イヅルは昼間助けて狐のことを思い出しました。そう言われてみれば昼間の狐は銀色の毛並みをしていた気がする‥。





「わかりました‥」


「!‥ほな早うこの戸開け「尚更この戸を開けてはいけないと云うことがよくわかりました!」


「‥‥な!?」





予期せぬ返答に男はびっくりしました。





「銀色の狐は人を化かして酷い目にあわせる‥。これも昔から両親に言われ続けてきました。なので開けるわけにはいきません!」


「いやいやいやいや‥!ボクは本当に恩返しをな‥」


「何を言われようと信じませんよ!早く帰ってください!」


「そ‥そんな阿呆な‥」






こうして銀狐の恩返しは失敗に終わりましたとさ。








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