「‥‥‥あ」





ふと我に帰ると自分のした行為がとても恥ずかしくなりイヅルは消しゴムを手にとり、自分の書いた文字を消そうとした。


‥‥が、






「まちぃ、」

「‥ッ!?」






いきなりむくりと起き上がった市丸に腕を捕まれ、それは阻止されてしまった。





「証拠隠滅はあかんで?イヅルちゃん」





にやにやと意地の悪い笑みを浮かべる市丸にイヅルは内心やられた!と激しく自分の行いを後悔した。

そうだ、市丸先輩はこう言う人なんだ、と。





「初めから起きてらしたんですね!!」

「んーなんのことやら」

「とぼけないで下さい‥!この落書きも僕をためしたんでしょう!?」






恥ずかしさで一気に捲し立てる僕を尻目に市丸先輩は涼しい笑顔を浮かべている。






「嬉しいなぁ〜イヅルが自分から相合い傘書いてくれるなんて」

「それは‥!市丸先輩が‥っ‥‥‥何でも、ないです‥」





最早何を言っても無駄だと悟った僕は大人しく反論をやめることにした。





「かわえぇなぁイヅルは」

「市丸先輩は意地悪です‥」





イヅルに対してはな、と席を立つ市丸に続いてイヅルも席を立つ。






「帰ろか、イヅル」

「‥そうですね」





差し伸べられた手を素直にとってしまう辺り、つくづく僕は市丸先輩に惚れているのだと思う。






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