いらいら

苛苛

イライラ




どうにもイヅルを見ていると心が乱れる。先程だって書類を届けに来た阿散井くんと楽しそうに何かを喋っていたのを見てよく判らないがいたたまれない気持ちになった。

ボクが一言声をかけるとイヅルはすみません、と席についたのは良いが今度は書類と向き合ってばかりで顔が見えない。





‥‥面白くない。





試しにイヅル、と呼んでみると視線が此方に寄せられた。

改めて言うがイヅルはかなり綺麗な顔立ちをしている。





「あの‥隊長?」





何時までたっても何も口にしないボクに変わってイヅルが口を開く。





「イヅル、笑って?」

「‥‥‥へ?」






さらりとボクの口から発せられた言葉にボク自身も些か驚いたが、それより目の前のイヅルのキョトンとした表情を見ていたくてそんなことは後回しにした。

笑った顔が見たい。
ボクだけに対して。

いつもそれを見たときにこの苛苛が昇華されるのだから。





「イヅルの笑顔が見たい」






そう言うとボンッと言う効果音がぴったりなくらいにイヅルは真っ赤になった。






「え‥あの、‥‥その」






視線を右往左往させるイヅルを見ているといつの間にか苛苛は消えていた。
そしてぎこちなく笑みを作るイヅルを愛しいと思った。






いとしい。




‥あぁそうか
ボクは恋をしていたのか。








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