市丸さんから、手紙が来た。 電話もメールも普及してるこの現代で、だ。 封筒の表に僕の名前、裏には市丸さんの名前しか書いていないところをみると直接ポストに入れたのだろう。 いつ入れたかは定かではないが、今日の朝新聞を取りに行ったときは入っていなかったのでおそらくそれ以降だ。 しかし折角うちまで来たのに手紙だけを入れて帰るとは全くどういう思惑なのか。何時もながらやりたいことがわからない。 (とりあえず開けてみよう‥。) 一ヶ所しか糊留めされてないソレは簡単に開き、中からは綺麗に二つ折りにされた便箋が一枚でてきた。 広げて字を見てもやはり市丸さんからのものだと云うのは間違いない。 「なになに‥」 『親愛なるイヅルへ。 イヅルにこうやって手紙を書くのは初めてやね。なんやこの歳になったら自分で文字を書くんも久しぶりな感じするわ。 それはさておき本題やけど、今日の夕方5時にいつもの場所で待ち合わせしよ。 楽しみに待っとるな。 世界一イヅルを愛しとる市丸ギンより』 「え」 一瞬書いてあることに目を疑った。 (今日‥の5時に‥?) ふと時計を見ると時刻は4時半すぎという所であった。 [*前] | [次#] |