「ん‥朝‥?」






カーテンの隙間からさしてくる光にイヅルは目をさました。




「あれ、なんで‥僕、昨日はあのまま寝たはずじゃ‥」






ふと自分の身体に目をやると、きっちりとパジャマに着替えてあった。おまけに毛布までかけてある。









「おはようさん、イヅル」

「っ‥誰!?」






一人暮らしの部屋から聞こえてくるはずもない男の声にイヅルはビクリと肩を震わせ振り返る。






「いややなぁ、昨日あれだけボクんこと介抱してくれたのに忘れたとは言わせんよ?」





そこには、銀色の髪をした、イヅルより年上であろう男性の姿。





「え‥あ、介抱って‥昨日僕が拾ったのは銀色のキツネで‥って‥‥あ‥!」



まさか、とイヅルは目の前の男を見つめた。






「わかったやろ?ボクが昨日のキツネ。銀狐の市丸ギンや」






そう言うとギンはぴょこりと己の頭からキツネ耳を、お尻から尻尾を出して見せた。





「うそ‥」

「ホンマやで〜」






ヘラヘラと笑うギンを見つめながらイヅルは腰が抜けてその場にペタンと座り込んでしまった。








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